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【鑑賞文】キウイフルーツ(池原早衣子)

 松山東の方が本校の部員の俳句を鑑賞してくださったお礼に、わたしも松山東Aチームさんの俳句を鑑賞しました。拙いものですがどうぞ読んでいただけたら嬉しいです。(池原)



第16回俳句甲子園公式作品集を読む!(目次)へ

〈松山東の句の鑑賞・キウイフルーツ〉 旭川東・池原早衣子

走ったか翔けたか夏の海へまず 大元寿馬
気持ちのいい句です。
足裏で強く地を蹴って夏の海の青に飛び込んでゆく。走っている瞬間瞬間をつなげていくとあたかも空を飛んでいるのではと錯覚してしまう(だって空と海が同じ色なんですもの)。その感じがよく伝わりました。本州の海はいいですね。道産子のわたしからしたらうらやましい限りです。

泣くための静寂トマトゼリー噛む 森優希乃
主人公はきっと泣くのをこらえているんでしょうね。でも、やっぱり咀嚼しながら歯を食いしばっても嗚咽が漏れてきてしまう。トマトゼリーの朱が効いています。他はモノクロなのにゼリーだけ色がついているみたいです。

きよらかに蓮は風をとりもどす 下岡和也
今年の大会において、蓮と風を取り合わせた句はいくつかありました。ですが、その中でこの句が一番蓮の生命感が表れていると思います。個人的な見解なのですが、他の句は蓮よりも風の存在が強く感じられてしまい、いきものとしての蓮の息遣いを伝えるのに少し足りない気がしたのですが、この句では蓮は「風をとりもど」しています。その部分がこの句の魅力だと思いました。用言の平仮名表記も素敵です。

福音の書を辿り食ふ紙魚いくつ 五百木仁志
紙魚という季語は使うのがとても難しいのに、こんなに素敵な句を作ることってできるんですね!まず、そこに感動しました。わたしが浅学であるのであまり深く鑑賞できないのが残念です。現時点ではこのようなことしか書けませんが、これから勉強していったときに、またこの句の鑑賞をしてみたいと思います。

葉桜や十指に掬ひたる豆腐 藥師寺紀伊
葉擦れのさらさらと水のさらさらがリンクしている綺麗な景です。葉の緑が眩しい、お豆腐の白が眩しい、初夏にぴったりな句だと思いました。段々、エメラルドと大理石の輝きが見えてきてしまいました。



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