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俳句甲子園全国大会参戦記

こんにちは、一年生の木村です。八月二十五、二十六日に愛媛県松山市で俳句甲子園全国大会が行われました。わが文芸部からは三年生一名、二年生一名、一年生三名の計五人チームで出場してきました。引退した三年生の堀下にかわって、木村が松山での報告をさせていただきます。よろしければご覧ください。

 二十五日は大街道商店街で予選リーグと決勝トーナメント、二十六日は場所を変え松山市総合コミュニティセンターで敗者復活戦、準決勝と決勝戦が行われました。
 
 抽選の結果、私たちは予選リーグでG会場となりました。対戦チームは愛媛県立伯方高校と石川県立金沢泉丘高校。10時10分から第一試合「夏の海」(旭川東vs伯方高校)、10時50分から第二試合「ゼリー」(伯方高校vs金沢泉丘)、11時30分から第三試合「蓮」(泉丘vs旭川東)というはこびとなりました。審査員の先生方は阪西敦子先生、大年くりや先生、幸尾螢水先生、望月とし江先生、熊本良悟先生です。

 さて、第一試合は地元愛媛の伯方高校。全員一年生のメンバーで、前日のウェルカムパーティーのときにも少しお話させていただきました。兼題は「夏の海」。先鋒戦の句は私たちにとって思い入れのある句で、ここで一勝して勢いをつけたい。そんなふうに思っていました。なので、すべての旗が私たちのチームにあがった瞬間を見たのはとても嬉しかったです。中堅戦は勝利し、大将戦は惜しくも敗れてしまい、2対1で旭川東高校の勝利となりました。
 第二試合は伯方高校と金沢泉丘との戦い。兼題は「ゼリー」でした。今日は一年を通して生活の中にあるゼリー。ゼリーを夏の季語として表現するのには苦戦しましたね。しかし、苦戦したぶん自分たちの好きな句を作ることができました。両校がディベートをしているのを見ていて勉強になると思いつつ、ゼリーでディベートしたかったなぁ、というのがメンバーの本音でした。たくさんの人に自分たちの俳句を見てもらいたかったです。話はそれてしまいましたが、第二試合は金沢泉丘高校の勝利となりました。
 第三試合は金沢泉丘高校。行きの飛行機の中でもお会いし、抽選会のときにはこの対戦は運命だったのかもしれない、そんなお話もしました。兼題は「蓮」です。互いに一勝ずつしており、譲れない戦いとなりました。結果は1対2で金沢泉丘の勝利。私たちにとって悔しい結果となりました。自分たちの句の景のあいまいさ、ディベートの弱点などに気づかされ、負けた分とても勉強になりました。
 予選リーグ終了後、審査員の先生方に挨拶に行ったところ、「まだ敗者復活戦があるから」、「素敵な句でしたよ」などのお言葉をいただき、これからの敗者復活戦に向けて気持ちがとても軽くなりました。まだ泣くのには早い。私たちの俳句甲子園はまだ終わっていない、そんな風に思いました。
試合中に大雨が降りましたが、そのおかげで暑さもやわらぎ、体調不良を起こすメンバーもいなくて安心しました。運営の方や俳句甲子園OBOGの方にもたいへん良くしていただき、万全の心持ちで試合にのぞむことができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。メンバーの一人が、商店街を歩いていた方に見ていてとても面白かった、とのお言葉をいただいたそうです。俳句についてなにも知らない通りすがりの方だそうで、一般の人にも俳句の楽しさを少しでも知っていただけたのかなぁと、とても嬉しいです。
 
 日付はかわり、敗者復活戦、準決勝と決勝の日です。昨年のコミュニティセンターでの決勝戦の映像を、松山に行く前にメンバーで見ました。自分たちがその場に立っていることに気づき、ここでもう一度ディベートをしたいとやる気が一段とわいてきました。
 敗者復活戦では三年生と二年生の二人が参戦しました。一年生は客席で他の高校の句と審査員の先生の質疑応答をすべて聞くことができました。前日に発表された兼題は「蓑虫」。旭川東高校の質疑応答の審査員の先生は高野ムツオ先生でした。他の高校の俳句の完成度の高さに驚き、この中から一校だけしか準決勝に進めないというのは、とてももったいない気がしました。私たちの句もどこにも負けない自信がありました。しかし見事勝利したのは沖縄県立浦添高校の句。この俳句甲子園の中で出会ったたくさんの句の中でも、とくに記憶に残る素敵な句でした。浦添高校のリーダーの方のお話に引き込まれ、胸にすっとせまるものがありました。ウェルカムパーティーのときにも席が近く、高校同士で交流させていただきました。自分たちは負けてしまったけれども、準決勝で頑張ってきてほしいと思いました。
 
 ここから先は私たちが見た試合の感想や見解、自分たちに足りなかったものなどの反省などを記させていただきます。
 準決勝第一試合は愛媛県立松山東高校Bと東京都開成高校Aの戦いでした。兼題は「指」。メンバーは違えど、昨年の決勝戦の高校同士の戦いです。3対0で開成高校の勝利。開成高校の決勝戦進出が決まりました。
 準決勝第二試合は京都府洛南高校Bと沖縄県立浦添高校の戦いでした。兼題は同じく「指」。熱いディベートを披露する洛南高校と敗者復活で勝ち上がってきた浦添高校。とても白熱した戦いでした。3対2で洛南高校が勝利をおさめました。
 ついに決勝戦です。対戦は東京都開成高校Aと京都府洛南高校B。兼題は「紙」です。決勝ともなると俳句の完成度、質疑応答の鋭さ、俳句にこめられた思いも予選リーグのときにはないものがあります。結果は3対1で開成高校の勝利。今年の俳句甲子園の頂点は開成高校に決まりました。

 決勝戦だけでなく、ディベートを得意とする高校の試合も拝見させていただきました。そして敗者復活戦での審査員の先生方の質疑応答には、私たちのディベートにはないものがたくさんあり、たいへん勉強になりました。「ディベートは添削合戦ではない」と審査員の先生方がおっしゃっていました。悪いところを指摘するのではなく、相手の句を好きになり、それをよりよい俳句にしようというのがディベートの目的です。さまざまな高校の試合を見て、旭川東にも取り入れたいと感じる素敵なディベートを見ることができました。

 ディベートを通して出会った句、個人賞の発表で知った句。作句の面でもとても勉強になった二日間でした。今年の旭川東の句は叙情的な句が多いとのことです。最優秀句などの句を見て、私たちは「もっと大きなものを詠みたい」と思いました。景が目の前に広く大きく浮かび、感情や物語が自然と心の中に生まれてくる。そんな俳句をこれから作っていきたい。もっと素敵な句に出会いたい、作りたい。私たちの大事にしてきた「俳句愛」がよりいっそう深まる二日間となりました。
 そして熱い戦いを終えたあとのフェアウェルパーティー。全国の高校生俳人との和気あいあいとした交流の場となりました。なんと俳句甲子園のうちわを作っていただき、そこにメッセージや俳句を書きあったり、審査員の先生にサインを頂いたりしました。メンバーにとって一生の宝物になりました。
 審査員の先生が「正岡子規には彼と親交のあった夏目漱石、彼を兄事していた高浜虚子がいた」。そんなお話をしていました。俳句は交流がなければ上手にならない、発展しないものなのです。全国の高校生と俳句について語り、親しくなって、そのことを実際に感じたフェアウェルパーティーでした。

 移動も含め、松山での四日間はたいへん充実した日々となりました。今年でリーダーは引退となりますが、俳句経験ゼロの一年生に俳句の楽しさを教えてくれました。実際に俳句の聖地松山で多くの素晴らしい俳句と出会い、「俳句愛」がとどまることを知らずふくれ上がっております!!それが冷めないうちにこれからの俳句活動、来年の俳句甲子園に向けて日々努力していきたいと思っております。
 俳句甲子園にかかわるすべての人に感謝の気持ちでいっぱいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



コメント
[2] 木村 | 2013/09/20 21:33
愛媛の俳句甲子園ファンの方へ。

コメントありがとうございます。
俳句甲子園は俳句が大好きな人たちと交流することができる場で、よい経験になりました。
私は初めて松山に行ったのですが、とても素敵な町でした。
来年も松山に行けるよう、成果を残せるように頑張ります。
[1] 愛媛の俳句甲子園ファン | 2013/09/16 06:16 URL
俳句甲子園全国大会参戦記、読みました。
旭川東高校の俳句甲子園にかける熱が伝わってきて、私も読んでいて熱い感動がよみがえりました。
私は愛媛に住んでいまして、俳句甲子園が好きで、去年、今年と応援に行っています。
今年は、旭川東高校の戦いを観戦することはできなかったのですが、来年はぜひ応援に行きたいと思います。
この夏の金土日は、本当に俳句一色で、一大俳句フェスティバルですね。
いろんな人との出会いがあって、かけがえがなくて、それが、うちわのエピソードなどからよく伝わってきます。
私が高校のころには、文化部にはこのような大会はなかったので、今は本当にステキだなと思います。本当に遠方になりますが、来年もぜひお越しください。
来年も俳句を通して出会いの輪が広がっていきますように、旭川東高校の活躍を応援しています。
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