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【短歌】古地図(二十首)/開来山人

天高し新しい手帳買うように目的のなき散歩に行った

〈ほだす〉とは漢字で書けば〈絆す〉なり不意にわれらの絆おそろし

かもめしか知らない感覚(空を飛ぶ時に自分のうえにあるもの)

[元気か]とのみ記されし絵葉書の消印はパリきみは元気か

にほんいちあなたのことがすきという気持ち(遺伝子組み換えでない)

知り合いに佐藤というやつ四人いて揃って英語の発音がいい

春過ぎぬ今までにないデザインのノートを買っておれはうれしい

教室のカーテンが少し空いていてきっと誰かが空を見ている

【東京の先輩からの賀状】
「きみの夢」こういうふうに言い換えることが出来るよ→「きみの特権」

メル友のふるさとに雪降らざればメールが国際郵便のよう

【茨城の友人に旭川の話をする】
冷蔵庫より寒いじゃあないですか(笑)うるせえ黙れ冷凍庫なり

「香椎由宇」辞書で調ぶれば「貸し売り」のまえにでており春はあけぼの

保健室しんとしており中庭を挟んで向うの教室は午後

「Kの遺書あなたが書いたものみたい そういやあなたのイニシャルもK」

わが姓に土偏の文字あるがゆえ水を飲むとき喉は踊りつ 

夏遠し古地図のうえにわれわれの立ってる点を打ち付けてみる 

【修学旅行4首】
大阪の夜景眺めて「東京の夜は綺麗!」と叫んでしまえ!

【ドラえもん誕生まで丁度百年の夜に泊りし宿】
百十六歳のわたしよまだ君の時代に「旅庵花月」はあるか

京都にて岩手に住んでる佐藤さんとメールしている旭川のおれ

ふるさとで買い得る筆を京都にて買う「行為」とそういうことだ


 短歌は日記だと思っている。実体験からつくることが多いし、そうじゃなくても出発する発想は自分が持っている。詞書も、俳句にはつけないが、短歌には積極的につける。それでも独りよがりな部分は多いから、課題だ。
 好きな歌人は大松達知さん。「ただごと」を追うことが多いのは、大松短歌の影響でもある。ほんとうは仮名遣いも彼に影響されて旧かなにしていたが、どうにも違和を感じる場面があって、いまは考え直した。



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